グローバル人材に聞く!梶山隆輔さん「英語を使って働くということ」後編 | Enjoy Learning English!!

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グローバル人材に聞く!梶山隆輔さん「英語を使って働くということ」後編

公開日: : 最終更新日:2014/06/09

こんにちは。英語学習コーチのタニケイです!

実際にグローバルな環境で英語を使って仕事をしている方々に、どのようにしてビジネスレベルの英語を使えるようになったのか、また今仕事で英語を使ううえで、どんなことに気をつけているのか、どんな課題があるのか、などを伺う、「グローバル人材に聞く!」シリーズ。

日本オラクルで、MySQLというデータベースのアジア・パシフィック地域のセールスコンサルティングのマネジメントをされている梶山隆輔さんへのインタビュー、前編につづき、後編は日系企業から外資系企業へ転職されてからのお話を伺いました。

梶山隆輔さんのインタビューレポート(後編)

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外資系企業へ転職。さらに英語が必要に

― 2008年に日本企業の野村総合研究所から外資系のMySQLへ転職されたということですが、転職後に英語を使う頻度は上がりましたか?

はい。上がりました。実は同じ部署にいる営業系のエンジニアの中では、日本人は私だけだったので、技術面で困ったことがあると必然的に英語で誰かに聞く必要があったのです。上司もニューヨークにいました。

英語が必須の環境ではあったのですが、アメリカ人やイギリス人は半分もいなくて、ドイツ、フィンランド、スウェーデン、フランスの出身者が多く、英語のネイティブはほとんどいない状態でした。

「英語でのスムーズなコミュニケーションが前提ではない」という意味で、米系の外資系企業とは大分異なると思うのですが、英語が下手でも通じれば良いし、向こうからくるメールも文法的に間違っていたりするので読み解かないといけません。ここでは、「英語が得意でない人がたくさんいるなかでどうコミュニケーションをするか」が大事でしたね。

2007年にマイナビに「MySQLの公用語は「へたな英語」」という記事がありますが、この状況は今現在も変わっていません。そういう意味では私にとっては楽に入れる環境でしたね。

― 今現在はアジア・パシフィック各国に部下がいらっしゃるということですが……?

そうですね。10人弱の部下が各地にいて、2週間に1回全員で電話会議をしています。

― 英語でのコミュニケーションは相当大変なんじゃないですか?

チームに入って最初の半年くらいは、自分の言いたいことを伝えるのに皆苦労します。それぞれの国内企業でずっとやってきて、初めて「外資系」に来た人も多くいますし、そういう人たちは初めて英語を使う環境に置かれたり、また逆に英語圏の国内企業から来た人にとってはみんながスムーズな英語を話しているわけではないのにそれなりに通じ合っている、という意味での戸惑いがあったりします。もちろん文化の違いもあります。

ですので、新しい部下にはまず企業やチームの文化を知ってもらい、英語が必須だということを伝えて、すぐに英語の研修を受けるなどの対策をしてもらうようにしています。

英語でコミュニケーションする際に気をつけていること

― 梶山さんご自身は、英語でコミュニケーションするときに何か気をつけていることはありますか?

相手がわからないかもしれない言葉を使ったときは、相手が悩む前にすぐ言い換えをするのが癖になっています。たとえば、プレゼンの場で「包括的なサービス」と言いたいときに、comprehensive serviceと言ってみたけれども、comprehensiveは単語自体が長いしあまり見かけない単語なので分からないかな?と思ったら、すぐにincluding everythingとかall in one serviceと複数の言い方で言い換えたりします。

会話の場でも同様です。話してみてわからなさそう、と思ったら意識的に言い換えるようにはしています。

外資系にはよくカタカナだらけの日本語を話す人がいますが、私はそれが苦手なので、カタカナで話してしまったら意図的に日本語で言い換える、ということをしています。英語を言い直す感覚もこれと同じです。相手が外国人であっても、日本人でも、子供でも、もしかするとペットでも、相手に通じなさそうなときは相手の反応を見ながら簡単な言葉に言い換える、というのはコミュニケーションを成り立たせるために誰でも自然にやっていることだと思います。

― 本当にそうですね。相手の反応を見ながら、相手に通じる言葉で話す、というのは、コミュニケーションの基本ですよね。では、お仕事で実践で使う以外に、英語力を伸ばすために何か自分でやってきたことはありますか?

MySQLに転職後、英語を話さざるを得ない環境だったので、これは英語力を上げなければ!と思い、「英語の字幕で英語の映画やドラマを観る」ということを始めました。

映画やドラマのセリフはよっぽど集中していないとフレーズ全部は聞き取れません。字幕を出しておけば、わからないフレーズがあってもすぐに確かめられます。

― それはどのくらい続けられたんですか?

それが、自分の英語で仕事がなんとかなってしまったので、半年くらいでやめてしまいました。

― そうすると、梶山さんは「仕事で使う」ということで英語力を自然に伸ばしてこられたんですね。

そうですね。実際に仕事で使って、自然に話し慣れたり、聞き慣れたりしたのだと思います。

英語の実力はTOEICに反映されるのか?

― ちなみに、TOEICは受けられたことはありますか?

はい。MySQLへの転職前に攻略本を使って真面目に勉強したら、TOEICで900点を超えました。当時から会話はしていたのでリスニングが良かったのだと思います。

― なるほど。実力があれば、いわゆる「英語の勉強」をしなくても、TOEICも取れるということですよね。ご自身の部下にも「リスクヘッジとして英語をやっておけ」と伝えていらっしゃるそうですね?

はい。私自身がMySQLに転職したときに、3日後に環境ががらっと変わった経験があるので。(*梶山さんがMySQLに転職した3日後に、MySQLはサン・マイクロシステムズに買収されました。そして今はサン・マイクロシステムズがオラクルに買収され、梶山さんはオラクルの社員となって、オラクルの中でMySQLの仕事をされています。)

今1人しかいない日本人の部下とは2人だけの時は日本語で会話をするのですが、私の直属の上司はニューヨークの人なので、部下がその人と直接話す必要があるかもしれないし、組織改編で突然部署が変わって上司が日本人でなくなるかもわからないので、英語を勉強するように言っています。これはオラクルのような外資系企業に限りません。日本企業であっても、いつ外国人の上司や部下が来るかもわからない状況に置かれていると思います。

仕事で使える実践的な英語を学ぶ上で大切なこと

― 仕事で使える、実践的な英語を学ぶ上で大切なことは何でしょうか?

英語で仕事をするときには必ず‘コミュニケーションできないとき’に直面します。話していることが文法的には正しかったとしても通じないことがあって、その原因は文化的背景にあることがほとんどです。

コミュニケーションが取れない場面で、はじめてお互いの持つ前提の違いに気づいて振り返ることができますし、自分の認識を前提に話を積み上げていたことに気づくきっかけにもなります。これが英語でコミュニケーションを取るうえで最も重要なことです。日本人同士でも全く別の業界の人や自分の親に話をする時は無意識に同じことをやっているはずです。とにかく文化的背景の違いを意識すること、ですね。

チーム内では、英語を勉強することのほかにもう一つ、自分がいる環境の文化的背景、ビジネス的習慣はどうなっているのかを再確認しないと相手がどういう環境にいるか比較できない、と伝えています。

文化は相対的なものが多いので、物事を伝えるときに、日本語では‘行間を読む’という形で伝えてしまうこともありますが、‘言ったことが全て’という文化をもつ人たちもいるので、相手の文化に合わせてストレートに言ったり匂わせた言い方にしたりと変える必要があります。これは「自分たちの環境がどうなのか」ということを考慮しないとできません。

英語を学ぶのもこれと同じです。文法を通して日本語と英語の違いを見るというよりは、文化的な背景の違いという観点から「日本語の文章の構造はこうなっていて英語とはそぐわないから、英語にするときは文章の組み立てを意識的に変えないといけない」と捉えます。

例えば、日本語を含めアジア系の言語は主語を省略しがちなので、英語にするときには意識的に入れます。アジア人は否定疑問文も苦手です。これは、相手に同意することを重視している文化なのか、主張を表に出してくる文化なのか、相対的にどういう文化を持っているのか、という観点で捉えるようにしています。

繰り返しになりますが、英語で実際にコミュニケーションを取ろうとするときは「文化的背景の理解」がとても重要になってきます。

― なるほど。単に言語として英語を話せるようになっても「仕事で使える」ということにはならないですよね。

英語学習者のみなさんへのメッセージ

― では最後に、英語学習者の方々に向けて、メッセージをいただきたいと思います。特に「まだ仕事で英語を使えるレベルではない」と思っている読者も多いと思うのですが、そういった方たちに向けて、英語ができることによるメリットを教えて頂けますか?

ありきたりなことになってしまいますが、英語ができると、仕事上のチャンスをつかみやすくなると思います。私の場合にも高校時代の留学経験があったのをきっかけに海外企業との打ち合わせに呼ばれるようになりました。まずは「ある程度できる」というのを周りに認知してもらえれば、チャンスを与えてもらえるかもしれないし、自分からチャンスを取りに行きやすくなります。

また、仕事の面でももちろんですが、海外旅行をする機会があれば、単にそこに行くだけではなく、英語を話せることで、現地の人との交流の幅が広がったり、友達ができたりします。

「今の仕事の環境上英語は必要ない」と思っていても、いつ突然その環境が変わるかわからない状況にありますし、今後おそらく外国人と交流する機会が増えるのは止めようがない流れだと思います。

― 梶山さん、ありがとうございました!

インタビュー後記

梶山さんのお話をうかがって、英語を仕事に使ううえで大切なことは、英語力だけではなく、相手のバックグラウンドや文化に対する理解、そして「想像力」が、欠かせないなのだろうな、と思いました。

さらに、梶山さんは特に「英語を使って仕事がしたい」と思われていたわけではありませんでしたが、日系企業で英語を使う仕事が回って来たときに、英語が得意だと思っていたわけではないのに「No」と言わずにチャレンジしたことが最初のきっかけとなり、現在では外資系企業で、アジア・パシフィック地域のマネジメントとして、グローバルに活躍されています。

小さい選択に見えても、そうやって、選択をする都度、「チャンスを広げていく」方向に動くことが、きっと大きな違いにつながっていくのだと思います。

さて、あなたの今日の選択は「チャンスを広げていく」ものだったでしょうか?

英語についてだけではなく、そんなことを考えさせられるインタビューでした。私も、とにかく前向きに、チャンスを広げる選択をしていきたいと思います。

梶山さん、ありがとうございました!

タニケイ

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タニケイプロフィール

谷口 恵子(タニケイ)

プチ・レトル株式会社 CDO
ワクワク英語学習コーチ
TOEIC ・TOEFLリスニング満点
Street Academy Platinum Teacher

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