TOEICテスト開発機関であるETS(Educational Testing Service)による、TOEIC SW公式教材『TOEIC Speaking & Writing 公式 テストの解説と練習問題』が、2015年12月16日に新しく発売されました。ETSによるTOEIC SW公式教材は今回が2冊目で、先に出版されている『TOEIC スピーキングテスト/ライティングテスト公式ガイド』と比べて、解答例や解説、学習のアドバイスなどが豊富に盛り込まれています!

本ブログでは、『TOEIC Speaking & Writing 公式 テストの解説と練習問題』の内容やオススメポイント、またTOEIC スピーキングテスト/ライティングテスト公式ガイド』との比較や、この2冊を使ったオススメの学習法について紹介していきます。

『TOEIC Speaking & Writing 公式 テストの解説と練習問題』概要

TOEIC SWの公式問題集第二段です。どの問題にも、解答例の詳しい解説や、同じ設問内で使える様々な表現例、また解答の準備時間中にしておくことや、解答中に気をつけることが掲載されており、満足できる一冊です。特に、評価に関すること(「解答時間が余ってしまったら減点になるのか」「スケール4と5の解答の具体的な違いは何なのか」など)が、アドバイスとしてとても丁寧に書いてあるところは、自己学習に非常に役立ちます。
また、全ての設問において、「テストでの画面の流れ」が紹介されており、本番のパソコン画面の動きを知ることができます。初めてTOEIC SWテストを受験される方も、「テストでの画面の流れ」を一読しておくことで、本番をイメージすることができ、テスト当日も落ち着いて受験することができるでしょう。

・模試数: 3回分(1つはトライアルテスト)
・練習問題数
 [Speaking] 音読:2 / 写真描写:2 / 応答:2 / 資料:2 / 解決策:2 / 意見:2
 [Writing] 写真描写:10 / Eメール:4 / 意見:2
・解答例&解説
各問、一つの大きな解答例があり、その解答例に対する解説も丁寧です。その解答例のどんなところが高評価なのかを説明してくれるので、別の問題を解く際にも、そのポイントを応用させることができます。また、問題によって「その他の解答例」「その他の表現例」もあり、複数のパターンの解答の仕方を見ることができます。

『TOEIC Speaking & Writing 公式 テストの解説と練習問題』がオススメな理由

その1. 評価に関するアドバイスが豊富
従来の他のTOEIC SW参考書と比較して、ここまで評価に関するヒントを掲載している本はありません。また、より評価の高い解答を作成するためのヒントや注意点も豊富です。つまり、自己学習をする上で、「何に気をつけて練習すれば良いのか」が、かなり明確になりました。

例えば、以下のような疑問を解決してくれるようなヒントが数多く掲載されています。

・音読問題では、自分の誤りに気づいたら、言い直しても構わないのか
・解決策を提案する問題では、採点スケール4とスケール5の解答にはどのような違いがあるのか
・Eメール作成問題で、文法や語法、つづり、句読点など誤りがあった場合、最も高い採点スケールに評価されることはないのか
・意見を記述する問題で、最も高い採点スケールを得るには、内容がわかりやすいだけでなく、さまざまな種類の構文を使う必要があるのか

どの参考書にも、TOEIC SWが指定している採点スケールと採点ポイントについては掲載されていますが、「スケール4と5の違いは何なのか」「何が出来ていないとスケール5は取れないのか」という具体的なところは分かっていませんでした。その点で、『TOEIC Speaking & Writing 公式 テストの解説と練習問題』は、学習者にとってかなり有益な情報が入った1冊と言えるでしょう。

その2. テスト本番のパソコン画面の流れを確認できる
いくら参考書や問題集を使ってたくさん勉強をしても、テスト本番はパソコン画面で受験をするので勝手が異なります。テストの進行がわかっていないと、焦ったり不安になってしまう恐れがあります。それにテスト当日の緊張が加わって、実力を発揮できなくなってしまってはもったいないです。『TOEIC Speaking & Writing 公式 テストの解説と練習問題』では、すべての設問にテスト本番のパソコン画面の流れが掲載されているので、テストを受験される前には、この流れを一通り確認しておくと良いでしょう。特にライティング問題では、「Cut」「Paste」「Undo」「Redo」「Word Count」など、タイピングの際に関係する複数のボタンがあります。これらの使い方を事前に知っておくだけでも、効率的にライティングに取り組むことができるでしょう。

『TOEIC Speaking & Writing 公式 テストの解説と練習問題』の内容と学習の流れ

『TOEIC Speaking & Writing 公式 テストの解説と練習問題』の構成

「Unit1 トライアルテスト」「Unit2 各問題形式の詳しい解説と練習」「Unit3 実践テスト」の三部構成になっています。

「Unit1 トライアルテスト」
本番形式で問題を一通り解き、どんな問題が出るのか大まかに理解します

「Unit2 各問題形式の詳しい解説と練習」
「Unit1 トライアルテスト」の問題を使って、解答例・解説を参考に学習していきます。解答のコツや使える表現、より高い採点スケールを得るためのヒントなどもここで学習してから、再度「Unit1 トライアルテスト」の問題に挑戦します。学習したことを意識しながら同じ問題を解答することで、時間内に自分の解答をまとめ、伝える力が身につくようになります。「Unit1 トライアルテスト」の再挑戦後は、各問題形式ごとに掲載されている2回分の練習問題を解いて復習します。

「Unit3 実践テスト」
2回分の実践テストに挑戦して実力を測ります

「Unit2 各問題形式の詳しい解説と練習」での学習の流れ

①問題形式の概要・・・設問数や解答時間などの基本的に概要に加えて、「より高い採点スケールに評価されるヒント」が説明されています。また、解答時間に関して「どのタイミングで解答を開始するのか」という細かい部分が、非常にわかりやすいレイアウトで掲載されています

②テストでの画面の流れ・・・テスト本番のパソコン画面の流れをすべて見ることができます。画面の流れとともに、テストの進行や画面上のボタンの操作の説明があります。試験の前にきちんと確認しておくと、本番で操作にとまどうことがなくなるでしょう

③採点ポイント・・・どのような解答が高い評価を得るのか、といった採点基準を表した表を見ることができます。採点スケールは、0~3点や0~5点など問題形式により異なります。高得点を目指すためにも、評価の基準を確認することが大切です

④解答のプロセス・・・解答作成の手順が記載されています。特に、「準備時間中にすること」「解答時間中にすること」と分けて、具体的なプロセスを説明しています。「準備時間中にすること」では、解答の前に設けられている限られた準備時間で、一体何がどれくらいできるのかを教えてくれます。また、より評価の高い解答を作成するためのヒントや注意点もこの項目で多く紹介されています

⑤自分の解答の見直し・・・学習してきた内容を振り返り、見直しをします。本書では、見直しのポイントがいくつか提示されているので、それを一つずつ振り返り、改善点を考えます。自分の解答した録音の音声を聞き直したり、解答を書き出し、文法や語彙を修正していく作業もとても効果的な復習です

⑥その他の表現例・・・同じ問題形式内の他の問題にも使える英語表現を、例文とともに紹介しています。限られた時間内でたくさん話すには、使い回しの利く英語表現はさらっと口から出るよう練習しておくと非常に便利です

⑦解答例の詳しい解説・・・解答例について詳しく解説しています。一文ずつ解説がつき、文の構成に関することや効果的な表現など、最も高い採点スケール相当の解答例について学習することができます。一文ずつの解説の下には、解答例全体に対する評価が記されています。全体として何が評価されているのか、何に気をつければ良いのかを確認しましょう

⑧この設問で使えるその他の表現例・・・解答例では使用しなかったけれど、同じ設問で使える他の表現を例文で紹介しています。TOEIC SWでは、同じ意味でも様々な表現方法をアウトプットできれば、英語に慣れていると評価されることがあります。一つの内容に対して、様々な表現を学習することは、高得点にもつながるでしょう

⑨その他の注意点・・・「解答を書くときの注意点」「評価について」「練習方法」など、学習時や受験時に役立つ情報が掲載されています。今までは、評価について「何をすると評価されるのか、何をしても評価されないのか」がわからず、学習していても対策するのが難しかったと思います。この項目では上記したような、非常に役立つヒントが充実しているので、非常に参考になります。また「練習方法」は、試験のみに有効なのではなく、英語力の底上げとしても非常に役立つ学習法になっています

⑩トライアルテストに再挑戦・・・今まで学習してきた内容を踏まえて、もう一度「Unit1 トライアルテスト」の問題を解きます。時間内に伝えたかった内容をきちんとまとめることができたか、解答前の準備時間は有効に使えたか、振り返りながら練習することが大切です

⑪練習1、2/解答例と解説・・・トライアルテスト後は、練習問題を解いて問題に慣れましょう。問題形式ごとに2問ずつ練習問題が用意されています。解答後は、解答例と解説を読みながら復習をし、再度問題を解き…と、繰り返し練習するようにしましょう

『TOEIC Speaking & Writing 公式 テストの解説と練習問題』と『TOEIC スピーキングテスト/ライティングテスト公式ガイド』を組み合わせて学習しよう

TOEIC SW公式教材として先に出版されていた『TOEIC スピーキングテスト/ライティングテスト公式ガイド』の特徴は、採点スケール別の実際の受験者の解答例をCDで聞くことが出来る点にありました。つまり、文法の完璧な英文をつかえることなく流暢に話すネイティブによる音声ではなく、実際に受験した非ネイティブの解答音声を聞くことができる、ということです。それが、最も高い採点スケールに評価された音声だけでなく、低い評価の音声も聞くことができるのです。自分の音声と比較することで、「自分は今どのスケールに相当するのか」「どれくらい話せれば最も高い採点スケールに評価されるのか」を耳で聞いて確認することができます。

ただ、この『TOEIC スピーキングテスト/ライティングテスト公式ガイド』は、TOEIC SWの問題を解く上での解説や、学習アドバイスがほとんど掲載されていませんでした。そこで、今回発売された『TOEIC Speaking & Writing 公式 テストの解説と練習問題』と一緒に学習することをオススメします。『TOEIC Speaking & Writing 公式 テストの解説と練習問題』で、問題の解き方やコツを学び、自分の出来具合を確認する際に、従来の『TOEIC スピーキングテスト/ライティングテスト公式ガイド』を使って自分のスピーキングレベルをチェックします。2冊を組み合わせて使うことで、より学習効果を実感できるでしょう。

*TOEIC SW対策用の全ての参考書は「おすすめTOEIC SW参考書・問題集紹介」から見ることができます