初めてTOEIC SWを受験する際に最も気になることは、「どれくらいのスコアを目標にすれば良いのか」ということではないでしょうか。また、「今自分はどれくらいのレベルなのか」ということも気になると思います。自分の今のレベルと目標スコアをきちんと定めることはとても大切です。なぜなら、ただ漠然と目標設定をしても、自分の今のレベルが分かっていなければ、目標達成までの道のりが見えないので学習計画が立てられないからです。

では何点を目標にすれば良いのか。まずは、自分の日常業務で求められている英語力、もしくは今後求められる英語力が、TOEIC SWの何点に該当するのかを知ることが大切です。そこで本記事では、TOEIC SWのスコア別に見る実際の仕事上でできることと、業種別に見る企業が社員に期待するTOEIC SWのスコアについて紹介したいと思います。

TOEIC SWスコア別に見る仕事上でできること

TOEIC SWのスコアを、実際に英語を使用した業務内容と照らし合わせて紹介します(財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会『TOEIC SW TESTS GUIDE』より)。この表を見れば、どのくらいのスコアでどんな仕事がこなせるのかを知ることができます。また、自分が普段仕事で行っている業務を振り返ることで、自分の英語力をTOEIC SWのスコアに換算することができます。

スピーキングテスト

Level 8 (190~200)
[通訳]
・講演やプレゼンテーション等、フォーマルな場面で通訳することができる

[議論]
・来訪者と世界の出来事について話すことができる

[説明等]
・少人数の歓送迎会で、事前準備なしに2~3分程度の短い挨拶やスピーチをすることができる
・プレゼンテーションやスピーチで議論されている内容について、質問をしたり質問に答えたりすることができる
・事前に用意した資料を用いて、他社の製品と比較しながら自社の製品やサービス品質・効率性・価格などを説明することができる

Level 7 (160~180)
[通訳]
・非公式の場面で、会話等の通訳をすることができる

[議論]
・議論の場で、相手の意見に対して自分の意見を述べたり反論したりすることができる
・議論や会議の場で、自分の意見を述べる・力説することができる
・上司や同僚と、顧客サービスや製品の質の向上について話し合うことができる

[トラブル対応]
・不良品や不十分なサービスに対する苦情を処理することができる

[説明等]
・事前に準備をした上で、新規プロジェクトや新製品に関する20~30分のプレゼンテーションや、公式スピーチを行うことができる
・自分が行った研究や調査に関し、結果を報告することができる
・講義やプレゼンテーションの際、不明瞭な問題点についてその場で説明することができる
・事業計画や方針について、新しい仲間や同僚に説明することができる
・外国人の従業員に、会社の歴史や規則について説明することができる
・自分がよく知っている仕事関連のプロセスについて、説明することができる
・自分の会社または大学について(例:主要事業は何か、どのような履修コースがあるか)、資料を見ながら手短に説明することができる
・自分の専門分野に関する話題について、分かりやすく伝えることができる

[その他]
・教師や同僚、友人、仲間等、聞き手の経歴や英語力に応じて話し方を変えることができる
・その場に適した暗記したフレーズを使って、質問したり会話を行ったりすることができる

Level 6 (130~150)
[トラブル対応]
・今起こっているトラブル(例:フライト・宿に関するトラブル)を係員に説明し、問題を解決するよう要求することができる

[説明等]
・自分の意見を、異なる意見を持つ相手に説明することができる
・自分の学歴や現在の職務を、フォーマルな場面で説明することができる
・同僚や仲間に、使用方法を知っている機械や聞き(例:コピー機、PC、オーディオプレーヤー)の操作の仕方を説明することができる
・外国人の同僚や新人に、日常業務の手順を口頭で教えることができる

Level 5 (110~120)
[説明等]
・将来のキャリア上の目標について話すことができる(例:来年自分が何をしようとしているか話すことができる)
・非公式の場面で、自分の趣味や故郷・興味のあることについて話すことができる
・社交の場面で、適切な挨拶・自己紹介をすることができる
・最寄り駅から、特定の目的地(オフィス等)までの道順を説明することができる
・海外からの来訪者に、ちょっとした観光案内をすることができる
・航空会社に電話して、飛行機の予約を変更することができる
・留守番電話に、折り返し電話をもらえるよう伝言を残すことができる
・電話で自分の名前・用件を告げ、担当者への取次を依頼する

[単純なやり取り]
・電話で、商品の注文や注文状況の問い合わせをすることができる
・レストランの営業時間を問い合わせたり、夕食の予約をしたりすることができる
・人と会う約束を取る・変更する・キャンセルすることができる
・来訪者と商談前に、天気等の一般的な話題について、世間話をすることができる

Level 4(80~100)
[説明等]
・トイレの場所の説明等、来訪者の案内をすることができる
・メニューを見ながら、喫茶店やレストランで料理を注文することができる
Level 3 (60~70)
[説明等]
・非公式の場面で、自分の趣味や故郷、興味のあることについて話すことができる
Level 1 (10~30)~Level 2 (40~50)
[説明等]
・メニューを見ながら、喫茶店やレストランで料理を注文することができる

ライティングテスト

Level 9 (200)
[報告書等]
・自分の専門分野内のよく知っている話題に対して、専門的な報告書を書くことができる
・プロジェクトの進行状況を説明する、数ページにわたる正式な報告書を書くことができる
・上司または教師から割り当てられた、調査報告書を書くことができる
・自分の仕事に関する、計画書や提案書を書くことができる
・新しい業務プロセスや新商品・新サービスを提案する企画書を書くことができる

[手紙・Eメール]
・顧客に対する、正式な礼状を書くことができる

[その他]
・専門家による会議のプレゼンテーションで使用する文章やスライドを作成することができる
・商品やサービスのセールスマニュアルを作成することができる
・新商品や新サービスを紹介するプレスリリースを書くことができる
・自分がよく知っている専門書に関して、1~2ページの要約を書くことができる

Level 8 (170~190)
[報告書等]
・自分の専門分野に関連したグループ会議で話し合われた要点を、簡単なレポートやメモにまとめることができる
・自分が作成した報告書内の図や表で示された情報について、説明文を書くことができる

[翻訳等]
・ビジネスレターやマニュアル等の書類を、英語に翻訳することができる

[手紙・Eメール]
・ビジネスレターの返事を書くことができる
・求人に応募するにあたり、自己紹介をし、その仕事に自分が適任であることを説明する手紙を書くことができる
・潜在顧客宛てに、自社の製品・サービスを説明する手紙を書くことができる
・公的機関に対し、必要な情報を得るためにEメール・文書で問い合わせることができる

[メモ等]
・会議または授業中に内容をメモし、要点をまとめることができる
・上司または教師宛てに、プロジェクトまたは課題の進行状況を説明するメモを書くことができる

Level 7 (140~160)
[手紙・Eメール]
・商品やサービスに対する、苦情のEメール・文書を企業に対して書くことができる
・ホテルの宿泊設備に関する情報を求めるEメールを書くことができる
・ある特定の商品やサービスに関する情報を得るために、企業に対しEメール・文書で問い合わせることができる
・業務上または授業に関する確認のためのメモを書いたり、Eメールを送ったりすることができる
・上司または教師宛てに、この一週間で達成したことを確認するEメールを書くことができる
・仕事上の知り合い宛てに、プレゼントや食事に対する短い礼状を書くことができる
・歓送迎会のご案内のEメールを書くことができる

[メモ等]
・自分のオフィスへの道順を分かりやすく書くことができる
・同僚または教師宛てに、会議または授業に出席できなかった理由を説明した簡潔なメモを書くことができる

Level 6 (110~130)
[手紙・Eメール]
・商品やサービスに対する、苦情のEメール・文書を企業に対して書くことができる

[メモ等]
・上司または教師宛てにプロジェクトまたは課題の進行状況を説明するメモを書くことができる

Level 5 (90~100)
[メモ等]
・同僚に、使用方法を知っているコピー機やPC等、オフィス機器の操作の仕方を説明する短いメモを書くことができる
Level 1~4 (10~80)
該当なし

業種別に見るTOEIC SW得点期待値

次に、様々な業種で求められているTOEIC SWのスコアの期待値を紹介します(財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会『高まるグローバル人材・英語コミュニケーション能力へのニーズ』より)。業種別、また部門別に見てみましょう。

新入社員 海外部門社員 営業部門社員 技術部門社員 海外赴任社員
全体平均 S=90 / W=80 S=170 / W=180 S=120 / W=100 S=120 / W=100 S=170 / W=180
水産・農林・鉱業 S=90 / W=80 S=200 / W=200 S=170 / W=180 S=200 / W=200 S=200 / W=200
建設・土木 S=50 / W=80 S=170 / W=150 S=90 / W=100 S=90 / W=80 S=140 / W=120
化学・薬品 S=90 / W=80 S=170 / W=180 S=120 / W=100 S=140 / W=150 S=170 / W=180
食品 S=70 / W=60 S=140 / W=150 S=70 / W=60 S=90 / W=80 S=200 / W=180
石油・石炭・ゴム S=120 / W=120 S=200 / W=200 S=90 / W=100 S=120 / W=100 S=170 / W=180
繊維・紙・木材 S=50 / W=60 S=170 / W=180 S=90 / W=100 S=120 / W=120 S=200 / W=200
鉄・非金属・窯業 S=90 / W=80 S=140 / W=150 S=120 / W=120 S=120 / W=100 S=170 / W=150
輸送機器・関連機器 S=90 / W=100 S=170 / W=180 S=140 / W=150 S=140 / W=120 S=170 / W=180
一般機械製造 S=120 / W=100 S=170 / W=180 S=140 / W=120 S=120 / W=120 S=170 / W=180
電機・精密機械 S=90 / W=100 S=170 / W=180 S=120 / W=120 S=120 / W=120 S=170 / W=180
その他製造業 S=50 / W=40 S=140 / W=150 S=90 / W=80 S=70 / W=80 S=140 / W=150
電気・ガス・熱供給・水道 S=90 / W=80 S=140 / W=150 S=90 / W=80 S=120 / W=120 S=170 / W=150
情報通信・通信サービス S=90 / W=80 S=170 / W=180 S=120 / W=120 S=140 / W=120 S=200 / W=180
運輸・倉庫 S=90 / W=80 S=140 / W=150 S=120 / W=120 S=120 / W=100 S=140 / W=150
不動産 S=90 / W=80 S=200 / W=180 S=90 / W=80 S=70 / W=60 S=170 / W=180
商社 S=90 / W=100 S=140 / W=180 S=120 / W=120 S=120 / W=120 S=170 / W=180
卸売り・小売 S=70 / W=60 S=170 / W=180 S=90 / W=100 S=90 / W=100 S=140 / W=150
飲食・宿泊 S=50 / W=50 S=170 / W=170 – / – – / – S=120 / W=140
銀行・保険・証券・信販 S=70 / W=60 S=170 / W=180 S=70 / W=60 S=120 / W=100 S=170 / W=180
放送・新聞・出版・印刷 S=90 / W=100 S=170 / W=200 S=50 / W=60 S=140 / W=100 S=200 / W=200
その他サービス業 S=70 / W=60 S=140 / W=150 S=90 / W=80 S=70 / W=80 S=140 / W=150

業種、部門によっては、スピーキング、ライティング共に満点の200点を求められているところもあります。また、海外部門でなくても、営業や技術職でもかなりの高得点を求められている業種もあります。これはあくまで期待値ですので、実際の社員がこれだけのスコアを取得できているわけではありませんが、どの業種でも比較的高いスコアが求められているのは事実です。業種、部門によって異なりますが、一般的に企業が期待するスコアは、スピーキングテストでは、「新入社員:90点」「営業部門・技術部門:120点」「海外部門・海外赴任:170点」、ライティングテストでは、「新入社員:80点」「営業部門・技術部門:100点」「海外部門・海外赴任:180点」です。

*TOEIC SWを導入している企業とその活用事例に関しては、『TOEIC SW導入企業とその活用事例紹介』をご覧ください。