青山学院大学ESS(English Speaking Society)活動潜入レポート!!
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最終更新日:2014/11/03
こんにちは。英語学習コーチのタニケイです!
みなさん、“ESS”ってご存知ですか?
“ESS” (English Speaking Society)といえば、様々な大学にある、英語部・英語サークルのことです。ディベートやスピーチなど、英語を使う活動をしていて、英語がペラペラの人がたくさんいる、そんなかっこいいイメージのESS…。
私自身、大学時代には全くESSにご縁がなかったのですが、ESSの活動はきっと、社会人の英語学習者の皆さんにも参考になるだろう、ということで、私のオフィスのご近所にある青山学院大学(以下青学)のESS部長の服部さんにお願いをして、8月初旬にESSの大きな活動を見学させていただきました!
青学のESSは全部で約300名。毎年1年生は100名ほど入るそうです。今回見学させていただいた活動は、夏合宿前の準備の位置づけで、1日かけて代々木オリンピックセンターのいくつかの部屋を使ってESSの各セクションの活動が行われるというものでした。1年生にとってはESSの全部のセクションの活動を知ることができる機会で、この後にどのセクションに所属するかを決めるそうです。
青学のESSは以下の4セクションに分かれています。
(1) ディベート
(2) ディスカッション
(3) スピーチ
(4) プロナンシエーション
オリンピックセンターの各部屋で、各セクションの活動が行われていて、1年生は時間の区切りごとに、それぞれの部屋を回って、セクションごとの活動を体験していました。
それでは、見学させていただいた各セクションの活動をご紹介していきますね!
(1) ディベート
ディベートセクションは、パーラメンタリー・ディベートと、アカデミック・ディベートとに分かれて活動をしているそうです。
私も最近知ったばかりなのですが、パーラメンタリー・ディベートというのは、イギリス議会をモデルとして、政府与党側(Government)と野党側(Opposition)に分かれて行うディベートです。Motionと呼ばれるディベートのテーマは、ディベート開始の20分前に発表されて、それから準備時間があります。ディベートは、各サイド3回ずつ話す機会がありますが、順番はG→O→G→O→O→Gとなっていて、それぞれのスピーカーは役割が決まっています。
UTDS(University of Tokyo Debating Society)さんのページに分かりやすい説明がありましたので、パーラメンタリー・ディベートについて詳しく知りたい方はこちらを見てみてください。
対するアカデミック・ディベートの方は、半期に1個テーマが決められ、長い時間かけて準備をした上で臨むディベートだそうで、リサーチ能力も勝敗に関わってくる、これまた面白そうなディベートです。
今回見学させていただいたイベントの中では、上級生がアドバイスをしながら、1年生がパーラメンタリー・ディベートを体験していました。Motionは「犯罪組織のメンバーを逮捕するべき」とか、「動物を食べることは禁止するべき」など、controversialな(論争の的になる)トピックです。
1年生は多少緊張が見えましたが、上級生のアドバイスでしっかりメモを準備して、時間を計って話していました。アドバイスやジャッジをする上級生も真剣です。
ディベートについては、青学に代々伝わっている内容をどんどんブラッシュアップして、テキストとして配布しているそうです。
また、休み時間には、上級生によるデモディベートも見せていただきました。
驚いたのは話すスピードの速さです。社会人のディベートも見たことがありますが、そちらでは言葉を選びながら、目線を配ったり、ジェスチャーを交えながら、聴衆に向けて訴えかけたり説得するように話している人が多く、今回見せてもらったESSのディベートでは、そうしたデリバリーの部分よりも、とにかく畳み掛けるように、ほとんど息継ぎもしていないのでは?と思う程、速いスピードで話している人が多くいました。これを続けていたら頭の回転がとても速くなりそうだな〜と思う反面、このスピード感に慣れるにはだいぶ訓練が要りそうだな…とも思いました。
おそらく、社会人のディベートでは、実際に英語を仕事の現場で話す方も多いので、どうしたら相手を説得できるか、どうしたら聞いてもらえるか、というのは、言葉や内容だけではない、という実体験が、ディベートでの話し方にも多く反映されているのでしょう。
それにしても、英語で自分の考えを組み立てて、どんどん話していくということに慣れている彼らは、きっと社会に出ても臆すことなくコミュニケーションができるんだろうな、と思うと、なぜ私は大学時代ESSを選択肢に入れなかったのだろう…と今更ながらに思いました。
▲まるで母国語かのように英語を操って流暢に話します
▲相手チームからの質問も出ます
▲ディベート終了後は和やかに
(2)スピーチ
次にスピーチのセクションを見学させてもらいました。ここでは、1年生が上級生のアドバイスのもと、400wordのスピーチを、準備中でした。
いきなりスピーチ原稿を書き始めるのではなく、やはりまずはスピーチの構成から。構成がしっかりしていないと良いスピーチはできないんですよね。
スピーチコンテストで全国大会2位という入村さん(写真左)に伺ったところ、入村さんは、1年生のときに出場したESSのレシテーション・コンテストで、人前で話す楽しさを知ったのだそうです。
そして、スピーチをする面白さというのは、「自分の中にある価値観、自分が大切にしているものに気づくことができる」とのこと。なぜ他の人ではなく自分が話すのか、を考えることで、自分にしかないものは何か、を考えるきっかけになるそうなのです。
こんな風に学生時代を有意義に過ごしている彼ら。素晴らしいですね!!
(3)ディスカッション
次はディスカッションのセクション。ここでは、上級生たちによるディスカッションをデモンストレーションとして見せてもらいました。
ディスカッションというのは、ディベートと違って、2つに分かれるのではなく、数名のチームで一つのテーマについて結論を出していきます。
この日見せてもらったディスカッションのテーマは、「死刑問題」。
ディスカッションでは、Opinion Presenterがいて、ASQ(Analyze Status Quo)と呼ばれる現状分析をまず説明します。それに対して、他の参加者が質疑をしたりしながら、現状維持が良いか、新しい政策を取るのが良いか、という結論を出していきます。
通常は半期で1つのテーマを決めて、リサーチをし、最後にディスカッションを行うそうです。ディスカッション中はリサーチはなしで、事前にリサーチしている情報を元にディスカッションします。
通常はなんと、3時間ディスカッションするそうです。今回はかなりの短縮バージョンで見せていただきましたが、それでも議論の展開や皆の話すスピードがとても速く、理解が追いつきませんでした。
▲このように図をその場で書いて、分かりやすく説明していきます。
▲Chairpersonは皆の意見を集約していきます。
ESS部長の服部さんも、ご自身はディスカッションのセクションに所属されているとのことで、お話を伺いました。
▲青学ESS部長の服部さんにインタビュー
ディスカッションは、論理的思考を鍛えたい、人の意見に流されないようになりたい、そして何かを考えたり、皆で作り上げるのが好き、という自分に合っていたとのこと。
青学ESSは全国的にみてもディスカッションのランカー(大会のランキング保持者)が多いのだそうです。
レベルの高い先輩たちに指導を受けて、これからもきっと、すごいディスカッションメンバーが増えていくんだろうな〜と思いました。
(4)プロナンシエーション
最後に見学させていただいたのは、プロナンシエーションのセクション。「プロナンシエーション」だから発音練習に特化したセクションなのかしら、と思いきや、今のメインの活動は、外国人観光客の方のボランティアガイドとのこと。これは私も始めたいと思っている活動なので、興味津々です。
最初は即興スピーチの練習。「浴衣と着物の違い」について、準備時間なしでペアで即興スピーチをしていました。ちょっと聞いてみると、皆色々考えながら、でも止まることなしに話し続けています。この「英語で話し続けることに慣れる」ということ、大事ですよね!
次に、面白いお題が出ました。「親にこの合宿の費用を出して欲しいとお願いをする」というものです。ペアになって、相手の親役の子に対して、一生懸命英語でお願いをする1年生たち。
泣き落としに入っている人もいれば、論理的にしっかり説明している人も。こういう「実際にありそうな場面の英語を話す」というのも、良い練習になりますね!
こうした、身近なお題でフリーの会話をするのは、実際のコミュニケーションに本当に役立つと思います。よく、英会話スクールにいくと、テキストにある決まった会話のロールプレイをするだけの会話練習もありますが、それよりも、シチュエーションと役割だけ決めて、自分の言いたいことを言う練習をするほうが、ずっと効果的だと思います。
このプロナンシエーション・セクションのチーフの本城さんは、最初、英語が苦手だったからESSに入ったそうです。動機はただ「外国人と英語で話せたらいいな」ということ。そして、このセクションでボランティアの観光ガイドをして、実際にガイドをした相手が喜んでくれたり、日本を好きになってくれたりしたことで、とてもやりがいを感じたのだそうです。
その気持ち、とてもよくわかります!社会人の中には「いつか役立つ日のために」「いつか必要になったときのために」と英語学習を続けている人も多いと思いますが、発展途上であっても、今の自分の英語力でどんなことができるのか、どこまで通じて、何が言えないのか、実践でどんどん試していきましょう。完璧になってから英語を話そうとするのではなく、まずはトライ!という気持ちで、色々な場に出かけていきたいですね。
そういう意味で、ボランティアガイドというのはとても良いな〜と思いました。私も通訳案内士の試験を今年受けています。この資格がないと有償のボランティアはできませんが、ボランティアガイドであれば資格は不要ですので、自分でも早速始めてみたい、と思いました。
以上、青学のESSの活動をご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
大学のESSのメリットは、英語を一人でやるよりも、上級生に教わることができたり、活動日が決まっていて活動を続けやすかったり、大会や人前で披露する機会があって、目標を設定したり、モチベーションを保ちやすい、ということがあるのではないかと思います。
社会人でも、英語学習を続けようと思ったら、こうした仕組みがあると、とてもいいですよね。私も、英語学習仲間と一緒に「社会人ESS」のような形で、英語学習を続ける仕組みを作れたらと思っています。
Enjoy Learning English☆
タニケイ