トシさんのフィリピン留学体験レポート<前編>〜留学の効果をあげるには〜
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最終更新日:2016/02/26
こんにちは。英語学習コーチのタニケイです!
仕事や忙しい日常から離れて、英語漬けになりたい!ということで、比較的格安で、手軽に行ける『フィリピン留学』に興味がある方も多いのではないかと思います。
でも、実際フィリピン留学に行くとなると、期間は?費用は?学校はどうやって選ぶの?など、色々考えることがありますよね。
そこで、フィリピン留学経験者の方々に体験談をお聞きして、このブログでインタビューレポートを掲載させていただきます☆フィリピン留学に興味がある方、検討中の方は、ぜひ参考にしてくださいね!
お一人目の「ミホさんのフィリピン留学体験レポート 〜文法やり直しで英語上達!〜」はこちら
今回インタビューに答えていただいたのは、私と同じ英語学校FORWARDに通っている、会計士の「トシさん」です。昨年2013年の11月に会社の制度を利用してフィリピン留学された際の体験談を聞かせて頂きました。それでは、どうぞ!
トシさんのフィリピン留学体験レポート
フィリピン留学を決めたきっかけ
タニケイ:よろしくお願いします!早速ですが、トシさんがフィリピン留学に行くことにしたきっかけは何だったんですか?
トシさん:会社で募集が出て、それに応募して選抜され、行けることになりました。会社では、英語ができる人のところに英語の必要な仕事は回ってしまっていて、僕自身は今はあまり英語が必要ではないのですが、もっと英語を身につけて仕事の幅を広げたいと思っています。そのために、TOEICの点数も伸ばしたいし、ビジネス英語も学びたいと思っていました。
ビジネス英語の観点で言えば、メールの書き方や、ビジネス独特の単語、ビジネスの場での紹介の仕方やミーティングのやり方、様々な言い回し(can,could,wouldの違いなど)を学びたいと思っていました。それから、‘同じ意味だけどニュアンスが違う単語’なども知りたいと思っていました。
タニケイ:ちなみに、現在TOEICのスコアはどのくらいですか?
トシさん:TOEICは最高が700点台で、うちリスニングの割合が高いので、もっとリーディングを伸ばしたいと思っています。
期間・費用・留学先の学校について
タニケイ:どのくらいの期間、フィリピンへ留学していたんですか。
トシさん:11月最初の日曜日に出発して、翌月曜日から4週間授業を受けて、最終の土曜日に帰ってきましたのでほぼ1ヶ月ですね。
タニケイ:費用はどのくらいかかりましたか?
トシさん:会社の制度で行ったので詳しくはわかりませんが、航空機代、宿泊費、授業料込み、昼夜の食事代を含めて1人30万円程度だったのではないでしょうか。
タニケイ:フィリピンのどこに留学されたんですか?
トシさん:マニラのオルティガス地区にある日本人が経営している学校に留学しました。会社が指定したいくつかの学校の中から選ぶことになっていたのですが、判断材料はあまりなく、「写真で見て、きれいそうで雰囲気が良さそうだった、授業が平日に凝縮されていて土日は休み、マニラに学校があって、ホテル住まい」というところが決め手でした。
ただ、マニラでは日常的に英語を話している分独自に進化しているけれども、セブ島のほうが英語を話す文化がない分アメリカンイングリッシュに近いらしい、という話を、学校に通っている時に聞きました。
タニケイ:そうなんですか。ではアメリカンイングリッシュに近い英語をたくさん聞きたかったら、セブ島などのほうがいいのかもしれませんね。では、到着してからの流れを教えていただけますか?最初にカウンセリングなどを受けましたか?
トシさん:学校では初日に8時から9時までオリエンテーションがあり、生活の流れを日本語で教えてくれました。その後、文法とライティングのテストが1時間ほどありました。授業の参考にするからということでしたが、結果が出るのが遅かったので本当に参考にされていたのかはわかりません(笑)。
タニケイ:授業はどんな形ですか?マンツーマンですか?
トシさん:50分×2で1つの授業となっており、12時から13時までの昼食時間を除いて毎日8時から17時までの8時間、授業をマンツーマンで受けていました。稀に電車が遅れたり大型の台風が来たりで先生が来ないとグループレッスンになりました。
授業は、掲示板に自分の名前、部屋、先生の名前が張り出してあって自分で該当する部屋を探す形式でした。学校はNorth WingとSouth Wingの2つのエリアに分かれていて、1コマ目はN-9、次がN-3、その次はS-1などというように2時間ごとに部屋と先生が変わります。
タニケイ:生徒はどんな方が来ていましたか?
トシさん:生徒は同じ会社から10名程度いまして、他には入れ替わり立ち替わり6~7人が来ていました。、ほとんどが日本人でしたが、その他、中国人と韓国人の方も1人ずついました。元々知っていた人は少なかったのですが、会社の人が多かったので食事などはいつも会社のメンバーと一緒にとっていました。
タニケイ:会社のメンバー以外の人の中には、どのような方がいましたか?
トシさん:個人手配で来ていた社会人の女性や、退職して新しいことをやりたいからという男性もいました。聞いた話では、若い人は女性のほうが多く、男性は年配の方が多いそうです。他には、会社で留学制度を取り入れるため下見に来ていた方や、フィリピンで働きながら11ヶ月在籍していた方もいたようです。
日本の代理店を通して申し込んだという年配の方で、1日4コマ(8時間)で申し込んでいたはずなのに、学校側は1日2コマ分の授業料しか受け取っていないという方がいました。しかもその代理店とは連絡がつかないようです。そういうことにならないように、代理店を使うなら信用できるところを探すか、自分で直接申し込んだほうが良いと思います。
タニケイ:先生はどんな方たちでしたか?
トシさん:先生たちは、男性、女性がそれぞれ10人強くらいずついました。先ほど出てきたエリアのNorthとSouthは、実は一方は常勤講師、もう一方は生徒数が多い時に勤務する非常勤講師やアルバイトだったようです。
男性の先生はほとんどがゲイだという話を聞きましたね。男性の先生はゲイである方も多いらしく、またゲイの先生は教え方が上手で知的なので、現地の学校でもゲイの先生のほうがいいという方々もいるそうです。これはゲイがオープンになっているフィリピンの文化的な背景によるものかもしれないですね。
タニケイ:学校のスタッフは日本人が多かったんですか?
トシさん:スタッフは日本人と、日本語が話せる中国人と、韓国の方がいました。韓国の方と話すときは英語ですが、日本人が大半だったのでどうしても日本語を話していました。フィリピンの英語学校は日系か韓国系が大半なので、日本人がいない環境を求めるなら韓国系の学校を選んだほうが良いのかもしれません。
フィリピン留学のカリキュラム・授業について
タニケイ:それでは、授業について伺いたいと思います。カリキュラムはどのように組まれるんですか?
トシさん:Grammar&Writing、Speaking&Pronunciation、Reading&Vocabularyの3コマの指定授業と、特に内容の決まっていない1コマがありました。その4コマ目でSpeakingとReadingをやっていました。テキストは市販の教科書をコピーしたものが製本してあって、これを1冊300~500ペソ(1,000円くらい)で購入し、毎日4コマ分持ち歩いていました。
Grammar&Writingの授業は、Grammarを中心に受けて、Writingは宿題を出されました。宿題はあるトピックを出されて、それについて書いて次の授業で提出、文法や時制が間違っているところを指摘してもらう、というものでした。授業は日本でもお馴染みの”Grammar in use”のIntermediateというテキストを1日で5~10章くらい進めていました。「このペースで終わる」と言われていましたが結局最後までは終わりませんでした。
タニケイ:Speaking&Pronunciationの授業はどうしたか?
トシさん:Speaking&Pronunciationの授業では、他の人たちは発音をかなり直されていたので、発音を直されたことのない日本人にとってはSpeakingはかなり効果的な授業かもしれません。日本で英会話学校(FORWARD)に通っていた効果もあったのか、単語をずっと発音練習させられるようなことはなかったですね。
先生の中には癖のある発音をしている人もいて聞き取りづらかったり、rで始まる単語はもっと舌を巻けと言われたりすることもありました。
タニケイ:会話をしていて、リスニングの練習にはなりましたか?
トシさん:ネイティブの会話スピードに慣れる、という意味で、練習にはなったと思います。
タニケイ:Grammar以外はどんなテキストを使っていたんですか?
トシさん: Grammar以外のテキストはどの科目も1冊につき20~30章で、各章ごとテーマが決まっていて、見開き左ページにテーマに関する文章、右ページに文章に何が書いてあるかの質問と自分の意見を書くところがあるというものでした。授業は、テキスト左側の文章を読んで、発音が違うところを直してもらい、文章に関する質問に答えて、先生の意見も聞きつつやり取りする、というのが普通の流れでした。
タニケイ:先生の教え方はどうでしたか?
トシさん:先生の教え方もレベルも、人によってまちまちでした。最初、「Post-Advanced」と書いてあるかなり難しいテキストを指定されて、何とかがんばって自分の意見を話しても、どこも直してくれませんでした。扱っているテーマも社会問題が多く、記事自体が難しくて単語のわからないものも多かったです。発音にも癖のある先生でしたので、1週間で別の先生に替えてもらいました。
タニケイ:その後はどうでしたか?
トシさん:変更後の先生の授業では家族の話題や好きな映画の話題など、少し易しいテーマで、自分の話したいことも話せて相手の言っていることもわかる、というようなテーマを扱ってもらいました。先生自身の意見を言ってくれたり、反対意見としてどういうものがあるのかを教えてくれたりしました。
他にも、授業の初めにテキストとは別にことわざを幾つか教えてくれましたし、Writingの宿題も毎日出してくれました。先生がテーマを与えてくれて、それについてWikipediaで調べたりしながら150語ほど書き、それを提出して、10点満点で点数(文法、構成などの観点から)をつけてもらい、講評してもらっていました。
タニケイ:そのWritingの宿題は良かったですか?
トシさん:Writingは1人ではやりづらいですし、間違っているところもよくわからないので見てもらえてよかったと思います。日記を宿題に出されている人ることも多かったですね。ただ、毎日8時間みっちり学校で授業を受けているので、日記を書くと言っても内容に困ってしまったと思います(笑)。ですから、テーマを与えてもらって書くという形式はとても良かったです。
あとは、4コマ目で単語の勉強もしていました。単語・意味・例文が載っていて、テストや問題もついている単語集が配られました。その単語集を先生となぞりながら、先生が突然単語集を閉じて、「発音するからスペルを書いてみて」、「意味を言うから当てはまる単語を言ってみて」、「それを実際に書いてみよう」、というようなやり取りをその場でやってもらっていました。これも結構頭を使って良かったです。その単語は翌日もテストされるので、毎日復習して覚えました。テストなど、何かチェックされる機会があるほうが、定着させるには良いと思います。ただ、1章12単語なのですが、テーマごとにまとまっておらず「こんな単語使うのかな〜?」と思う単語も多かったですね。
タニケイ:結構毎日授業以外の勉強もしていたんですね。他にも宿題などはあったんですか?
トシさん:宿題では、Writingと単語の他に、次の授業で読む文章を予習として読むということもやっていました。授業以外の時間はほとんど宿題をやっていました。18時~19時まで宿題して、夕食を食べて、また22時~1時くらいまで再び宿題をしていました。日本であまりまとめて勉強する時間のない人にとっては良いと思います。
タニケイ:たしかに、缶詰だから強制的に勉強しますよね。授業以外の活動もあったのですか?
トシさん:土曜日には授業はありませんでしたが、任意でグループディスカッションに参加することができました。最初の2週は台風で潰れたり先に予定を入れてしまったりしていたのですが、3週目には出席しました。
ディベートのようなディスカッションで、「風俗は必要か、また、合法化すべきか」のようなディープな話題について、自分の意見に基づいて分かれてディスカッションをしました。このテーマが選ばれたのは、フィリピンはカトリックで離婚も認められていないという文化的背景があったのかもしれません。生徒8人に対して先生2人で、ディスカッションしながら先生がアドバイスしてくれました。これはとても面白かったです。
また、映画を2時間通して見て要約するという宿題もありました。ハリウッドの『21』という、MITの生徒が教授とカジノで一儲けを企む映画を要約して、幾つか設問に答えたものを提出しました。この映画の要約は、意外と難しかったですね。
フィリピン留学での英語の上達具合は
タニケイ:フィリピン留学に行ってみて、英語の上達具合はどうでしたか?
トシさん:実は、英語力はあまり伸びていない感じです。
Grammarの授業で使ったIntermediateというテキストは日本にいるときに一通りやったことがありました。忘れていた部分の復習にはなったので、全く伸びていないということはないと思いますが、現在形・現在進行形の形とかから始めるのではなくて、ビジネスの現場などでの実際の使い方等を知りたかったため、物足りなさを感じました。また帰国後にTOEICを受験しましたが、スコアはむしろ下がりました。
僕の通っていた学校では、初日に「ビジネス英語を学びたい」と言ったところ、「ビジネス英語は別料金」と言われ対応してもらえませんでした。本当に別料金だったのか、教えられる人がいないからそう言ったのかはわかりませんが。
皆が使うテキストもほぼ決まっていて、適切なものがなかった印象です。Grammar以外のテキストは韓国で英語学習用のテキストとして販売されているようなものでしたので。やってもらえるのかはわかりませんが、「これをみっちりやりたい!」「この本を読破したい!」というテキストを自分で持っていくと良いかもしれません。
学校を選ぶときに、自分の要望や、自分で持ち込んだテキストに対応してくれるかどうかを事前に聞いて選んだほうがいいと思います。
タニケイ:なるほど〜。そうですね。受け身ではなくて自分で強い希望を持って行った方がきっと効果があがりますよね。トシさんは、行ってから何かリクエストしたりしたんですか?
トシさん:実際行くまでどのような授業があるかわからなかったので、授業を受けていく中で「もう少しこういうことについて聞きたい」「発音の授業は要らないから別の内容に」といったリクエストはしました。ただ、自分の中でこう教えて欲しい、という具体的なものがあまりなく、教わり方については個別にリクエストはしなかったので、先生次第になってしまったところがありましたね。
タニケイ:他に何か、授業についての感想はありますか?
トシさん:あとは、先生が休んだときに、他の生徒と一緒にグループレッスンとなったことがあるのですが、必ずしもマンツーマンではなくグループレッスンでも良いと思いました。上級者と初心者が一緒のグループでは難しいかもしれませんが、同じくらいのレベルだと、自分が気づけないところを、他の生徒が話しているのを聞いて気づいて吸収できる、というメリットがありました。
タニケイ:では、トシさんから見て、他の生徒の方の英語の上達具合はどうでしたか?
トシさん:会話量は多いので、普段英会話学校などに通っていない人にとっては効果があると思います。特に「TOEICの点数は良いけど話せない」という人にとっては、事前にたくさんの単語を知っているので、より効果的だと思います。日本で英語を話す環境にいなかった人にとっては、英語を話す度胸がつくと思います。
タニケイ:学校内はEnglish Onlyなんですか?
トシさん:学校内ではEnglish Onlyと張り紙されてはいたものの、実際には生徒は日本語を話していたし、先生たちも現地の言葉を話していたので、先生たちから英語を話すようにしたほうが良いのではないかと思います。English Onlyが守られるかは学校の厳しさにもよるでしょうが、English Onlyであればもっと効果的になると思います。
あとは、先生たちと文化的な話ももっとできるとよかったかもしれません。一緒に行った仲間の中には英語ではなくて現地のタガログ語で女性の口説き方を覚えてきた人もいました(笑)。
最終日には修了報告書が渡されて、各先生から授業でやったことや今後気をつけるといいことを書いた紙も頂きました。これは今後の勉強に多少役に立ちそうです。
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