2-1.区議会は「民意の鏡」?―区議会のはたらきと使命―

さて、来年の4月に行われる統一地方選挙では、ほとんどの特別区で区議会議員選挙が行われます。
区議会議員って、自治体としては一番身近な「区」だし、投票する人も選びやすいかな……と思いきや、全然わからない。

何がわからないのか、と考えてみると、候補者云々の前にそもそも区議会や議員が何をやっているのかを全然知らないのです。

そこで今回からは、区議会や区議会議員の役割や仕事内容などについて紹介していきたいと思います。

まずは区議会の役割を紹介します。
区議会議員がどんな年間スケジュールで活動しているのか、より具体的な内容については次回以降のブログで紹介するので、是非そちらもご覧ください!

区議会のはたらき

まずはこちらをご覧ください。

2-1説明

この図からもわかるように、区議会は区長と同様に住民(区民)からの選挙で選ばれます。区議会は、区民生活の重要事項を決定している「議決機関」です(一方、区長は議決に基づいて実際に区の仕事を進めていく「執行機関」と呼ばれます)。

基本的に、区議会は区長をトップとする執行機関に対して批判を行う働きと、予算等の様々な事柄を決定する役割を持ちます。もちろん、各々の議員が区長に賛成、反対、というのはあるでしょうが、議会全体として見れば区長を筆頭とする執行機関の活動をチェックする働きを担っていることになります。これを、「機関対立主義」といいます。

それでは、実際にこうした働きを果たすために議会はどんなお仕事をしているのでしょうか?

区議会の使命

先ほど見たように、区議会は政策や条例、予算を決定したり、首長や執行機関を監視したりといった役割を担っています。そのほかにも、政策や条例を提案したり、有権者に争点を提起するなどの役割もあります。

具体的な仕事内容については、各区のホームページに詳しいものが載っていますが、ここでは中央区ホームページを参考にまとめたいと思います。

議決

区議会の仕事で、重要でしかも代表的なものは、区長や議員から提出された議案などを審議して、その可否を決める「議決」です。条例はもちろん、区の予算などの大切な事項も議決によって区議会の承認を得なければ実行できません。

選挙、選任及び同意

議長、副議長や選挙管理委員会などの委員は、区議会議員の選挙で決められます。他にも、他の委員会(常任委員会、議会運営委員会、特別委員会)の委員を選任したり、区長から提出される重要な人事案件(副区長、教育委員、監査委員など)について同意するかどうかを決めます。

区政のための調査・監査及び検査

区政が正しく運営されているかどうかを調査したり、事務の執行状況や出納の検査も区議会が行います。監査委員に専門的な監査を求めることもできます。また、本会議で一般質問を行ったり、委員会で報告を受けたり質問を行うことでも区政のチェックの仕事を担っています。

意見書の提出

区だけでは解決が難しい問題について、区議会の意見を国や東京都に提出しています。

請願の審査

区政についての区民の要望を「請願」「陳情」という形で受け付け、それを審査しています。その内容が妥当であると判断した場合には、区の仕事の場合は区長などに送り、国や都の仕事に関するものは先ほど述べた「意見書」などの形で提案し、実現を要望します。

主な仕事内容は以上の通りです。ちなみに、渋谷区の一番最近の区議会(第3回定例会 平成26年9月25日~10月23日開会)では以下のことが決定、認可されました!

2-1説明2

条例は既存のものの改正が多いですが、
「渋谷区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例」、
「渋谷区特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準等を定める条例」、
「渋谷区家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例」
は今回新たに制定されました。

選挙・選任については、副議長が選ばれ、また「五輪・パラリンピック対策特別委員」など、他のいくつかの役職も選任されました。

「地方税財源の拡充に関する意見書」など、複数の意見書が国などの関係機関に提出されることが決まったほか、「子どもたちの健やかな成長のために、現行の保育水準を維持・拡充することを求める請願」も採択されました。

区議会は、区の方向性の決定権を持っていることに加え、請願の審査など比較的区民に近い立場で仕事も行うので「民意の鏡」と呼ばれることもあります。でも、あまりわれわれ住民に「近い」という感覚がしないのは私だけでしょうか?それは一体なぜなのでしょう……?

実態は「首長>区議会」?

実際には、区議会よりも区長のほうが優位なのではないかとされることも多いです。その原因には、議案提出をほとんど首長(区長)が行っている、予算を伴う提案は首長(区長)の特権事項であり、事実上議会が予算を減額修正することができなくなっているということが挙げられるでしょう。

先ほど渋谷区の例でも挙げた「議決は既存のものの改正が多い」という事実も、もしかすると区議会の弱さを表しているのかもしれません。

また、区長は1年365日常に置かれているのに対して、議会は会期が決まっていて常に開会されているわけではないという事情も関係していると思われます。

とはいえ、実際に見てみないことには区議会が本当に「民意の鏡」であるのかを確かめるのは難しいと思い、実際に区議会を見学してきました。このご報告については、次回のブログで紹介しますね!

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コメント

  1. […] 以前のブログで、区議会と区長、それぞれどのようなはたらきをしているかは簡単に紹介しましたが、今回は今まで焦点を当ててこなかった執行機関のトップ、区長に着目して紹介しま […]