2-4.同じ「議員」。国会議員と区議会議員のちがい

今まで、本会議や委員会について特集してきました。実際に傍聴しに行ってみるといろいろ発見がありますので、今月の本会議や委員会、是非足を運んでみてくださいね!

さて、そんな特集を見て、このような疑問を持った方も多いのではないでしょうか?

「国会議員と区議会議員って何が違うんだろう…?」

今回は今までと少し趣向を変えて、国会議員と区議会議員を比較してみようと思います。国会議員と区議会議員では扱っている仕事内容が異なるので単純な比較をするのが難しい部分もありますが、面白い観点をいくつか紹介しますね!

区議会議員の項目は渋谷区を例に使いながら紹介していきます!

国会議員=多忙、区議会議員=……アレ?

国会議員も区議会議員も、議員になったら議員が本職、というイメージを私は持っているのですが、みなさんはいかがでしょうか?

どちらも完全に兼職が禁止されているというわけではないのですが(一部、兼職が禁止されている職種もあります)、果たして彼ら議員にそんな余裕はあるのでしょうか?

そこで、それぞれの議員がどれほど本会議や委員会等に拘束されているのか、調べてみました。今年度はまだ終わっていませんので、昨年度(平成25年度)のデータを使用します。

まずは国会議員です。

国会の会期は通常国会が150日です。その他に臨時国会があり、延長は2回まで可能です。平成25年度の場合では、通常国会150日のほかに、臨時国会が計61日ありました。つまり、合計すると1年365日のうち211日は国会の本会議に出ていることになります!

その他の日の過ごし方は各議員によって異なりますが、おおむね法案審議のために勉強したり、委員会に参加したり、選出された地元に帰って有権者の陳情を聞いたり、などという活動を行なっているようです。そう考えると、国会議員は実質的にほとんど休みはなさそうです。

一方、区議会議員はどうでしょうか?

渋谷区の区議会月報をもとに、何日本会議に出ているか調べました。

すると……

平成25年度の本会議は定例会、臨時会を合わせても14日だけです!!!

以前のブログでも述べましたが、定例会は年に3,6,9,11月の年4回で、実際に会議が行われるのはそれぞれ3~4日しかないのです。

仮に、渋谷区区議で、議会運営委員会と自治権確立特別委員会に所属している平議員だとしても、活動日数は合計で68日しかありません。もちろん、これ以外の日にも政策研究や有権者のための活動などをしているのでしょうが、国会議員がそもそも200日以上会議に拘束されていることを考えると少なさが際立ちます。

日当がいいのは国会議員?区議会議員?

「議員」と聞くと、たくさんお給料をもらっていそう、と思う方は多いのではないでしょうか?

確かに、議員が給料をもらいすぎている、という批判は時折耳にします。実際はどうなのでしょうか?ここでも、国会議員と区議会議員を比較してみたいと思います!

まずは国会議員の場合。

国会議員は、報酬の事を給料ではなく「歳費」といいます。国会議員が1年間でもらっている歳費は年間約2200万円です!そのほか、諸手当を含めると年間約4200万円にものぼります!

歳費を単純に通常、臨時国会に出席している日数で割ると、年間2200万円÷211日(本会議日数)=1日あたり10万4265円

先程書いたように、国会議員は一年のうち休みはほとんどないとのことでしたので、年間360日働いているとすれば、4200万÷360=1日あたり11万6667円!国会議員は日当10万円以上の報酬をもらっていることになります。

もちろん、このなかから事務所費や地方への移動費などを捻出しているため、このすべてが議員さんの懐に入るというわけではありませんが。

一方、区議会議員はどうでしょうか?

地方議員の給料は自治体によって大きく異なるので、今回は渋谷区の例で見てみたいと思います。

渋谷区の、正副議長や正副委員長になっていない議員の場合、給与は月額60万900円です。年間では721万800円もらっている計算になります。

これを、先程紹介した本会議に出ている日数で割ると…

7210800円÷14日=51万5057円?!?!?!?!

国会議員が10万円を上回る程度でしたから、その5倍と考えると1日当たり相当額の報酬を受け取っていることになります。

先ほどの計算通り、議員が議会運営委員会と自治権確立特別委員会に所属しているとすれば、区役所に足を運んでいる日数は計算上68日になります。年間68日働いているとすれば、7210800円÷68日=10万6041円!

これでやっと国会議員並みです。ちなみに、議会運営委員会は他の委員会と比べると委員会の開催日数が多いので、別の委員会に所属している議員はもっと1日当たりの給料が高い計算になります。

総額で見ると国会議員には遠く及ばないように思われる区議会議員の報酬ですが、日割りにして考えるとかなりの額をもらっていることがわかります。これは、住民側から給料削減を訴えられるのも頷ける気がしますね……。

もちろん、その中から事務所費や選挙費用などを捻出するのでしょうが。

私たち1人あたりに議員は何人?

さて、ここまでは日数やお金にまつわる話をしてきましたが、ここでは少し趣向を変えて議員さんの人数のお話です!

私たち1人当たりに国会議員や区議会議員は一体何人いるのでしょうか?(※有権者の人数の方がよい?)

国会議員の人数は、現在衆議院議員が475人、参議院議員が242人です。これを人口で割ると、国民26.7万人に1人しか国会議員がいないことになります。これは世界と比較すると少ない方で、OECD加盟国34か国のうち33番目です!

議員定数削減をよく耳にする昨今ですが(衆議院議員の定数も480人から削減されましたね)、世界的にみると国民の人口の割に議員の数は少ないといえそうです。

一方の区議会議員はどうでしょう。

定数については、各区の条例で定めることになっているので、ここでも例によって渋谷区の定数を利用して計算してみたいと思います。

渋谷区の区議会議員の定数は34人です。

渋谷区の人口は9月30日現在で216,953人です。よって、216,953÷34=約6,381人

これは、国会議員が27万人弱に1人しかいなかったのと比べると、非常に少なくなっています。そのぶん、より地域の人々に密着した区政となっていく可能性をもっているのではないでしょうか。

逆に言えば、地域や住民に密着した区議会となっていないのであれば、それはこれだけ豊富な区議を無駄遣いしているということになってしまいます。

いかがでしょうか?

国会議員と区議会議員、同じ「議員」といっても、結構違いがありますね。いずれにしても、我々の税金で活動していらっしゃる議員さん、ますます我々住民のために頑張ってくれることを祈るのみです!

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