2-3.区政は”委員会”に注目せよ 実際に行ってみた!~委員会編~

さて、前回は区議会の本会議に潜入してきましたが、今回からは区の委員会を紹介していきます。

先に結論を言ってしまいますと……タイトルにもありますように、「区政は委員会に注目せよ」!

前回のブログで紹介した本会議と比べ、より区政の実態に則した議論が行われている場、そして、今後区議会における議論を有意義に展開していく可能性をもった場…それが委員会なのです。

若干抽象的になってしまいました。まずは、私が実際に委員会を見てきた様子を紹介します!委員会の基礎知識や仕組みはそのあとで紹介しますので、気になる方は先に読んでいただいても構いませんよ!

実際に行ってみた!~委員会編~

さて、ここまで説明をさせていただきましたが、調べているだけでは実際の雰囲気はわかりません・・・・。

というわけで、委員会も実際に見学してきました!

私が見学したのは渋谷区の文教委員会です。見学の手順は本会議と同様です。まずは、渋谷区役所へ!

2-2_Shibuya_Ward_Office

区役所についたら、「区議会事務局」に行きます。ここで、名前、住所などを記載して、住所、氏名を記入し、傍聴券とバッジを受け取ります。ここも同じです。

時間まで、外のロビーで待ちます。時間になると、区役所の方に案内されて委員会室へ!

入ってみてびっくりしました。距離が近いんです!

写真を撮れなかったのが残念ですが、渋谷区の場合は部屋が狭く、議員さんのすぐ後ろで傍聴することができます。表情がわかる程度だけではなく、議員さんがお使いの筆記用具まで見えてしまいます(笑)

委員会は、区役所の担当者が説明を行ない、それについて質疑応答を行うという手順で進んでいきました。本会議と比べると議員さんの発言も活発で、また、会派によって発言の内容やスタンスが異なっていて面白かったです。

厳かに会が進んでいくというよりは、気になったことがあったらすかさず挙手をする委員がいたり、他の委員が話している上からかぶせて話してくる委員がいたり(笑)。議員が言い合った末に笑顔を見せているのも新鮮でした。

「中断」といって、何か確認したい事項が出てきたときに委員会を中断し、確認する時間が頻繁に取られるのは初めて知りました。もちろん、これらの中断は議事録には載らないので、議事録を読むだけではわからない発見ができました!

私感ですが、率直に委員会は見ていて面白かったです。本会議ほど型にはまっていませんでしたし、比較的自由な発言を聞けた気がします。とはいえ、反対派の会派が一応反対意見を述べ、でも結局通る、という流れや、他人が話している間に遮ったりしている様子を観ていると、まだまだ会議の有意性や生産性は向上の余地があるのではないかと思いました。

形式的な本会議と比べ、委員会は公の場における議員の働きが最もよく見える機会だといえるきるでしょう。加えて、議員が意見を言い合う場として、今後ますます有意義な議論の場として展開していく可能性も秘めていると思います。

委員会とは

先に潜入リポートをお届けしましたが、ここからは少し理論的なお話へ。委員会の仕組みなどについて紹介させていただきます。

前回見てきたように、区議会では扱う内容が非常に多岐にわたるため、どの区でも委員会が設けられており、各区議会議員はその委員会に所属しています。

委員会については各区がまとめていますが、とくに港区HPに詳しく載っているので、それを参考に解説します!

ズバリ、委員会とは、本会議に提案された議案などを、専門的にくわしく審査するための機関です。

委員会には、常に設置されている「常任委員会」、 「議会運営委員会」と必要に応じて設置される「特別委員会」とがあります。 委員会は、いろいろな案件について細かな審査を行うため、 議会が開かれないときでも開くことができます。

設置されている委員会は、「議会運営委員会」のみ23区全てにありますが、他は23区すべてで共通というわけではなく、各区がその区に相応しいものを置いています。それぞれ見てみましょう。

常任委員会

常任委員会は常に設置されており、条例により各区の議員は1つの常任委員会に所属しています。任期は区によって異なりますが、たとえば渋谷区は2年、杉並区は1年です。

常任委員会で設置されている委員会は、大きく分けて総務系、福祉系、都市・環境系、教育系にわけられますが、委員会の名称や数には区ごとに差があります。

総務系 福祉系 都市・環境系 教育系 その他
千代田区 企画総務 生活福祉 環境文教 (環境文教)
中央区 企画総務 福祉保健 環境建設 区民文教
港区 総務 保健福祉 建設 区民文教
新宿区 総務区民 福祉健康 環境建設 文教子ども家庭
文京区 総務区民 厚生 建設 文教
台東区 企画総務 保健福祉 産業建設 区民文教
墨田区 企画総務 福祉保健 産業都市 区民文教
江東区 企画総務 厚生 建設
区民環境
文教
品川区 総務 厚生
区民
建設 文教
目黒区 企画総務 生活福祉 都市環境 文教・子ども
大田区 総務財政 保健福祉 都市・環境 子ども文教 地域・産業
世田谷区 企画総務
区民生活
福祉保健 都市整備 文教
渋谷区 総務区民 福祉保健 都市環境 文教
中野区 総務
区民
厚生 建設 子ども文教、文教
杉並区 総務財政
区民生活
保健福祉 都市環境 文教
豊島区 総務 区民厚生 都市整備 子ども文教
北区 企画総務
区民生活
健康福祉 建設 文教
荒川区 総務企画 福祉・区民生活 建設環境 文教・子育て支援
板橋区 企画総務 健康福祉 文教児童
練馬区 企画総務
区民生活
健康福祉 環境まちづくり 文教児童青少年
足立区 総務
区民
厚生 建設
産業環境
文教
葛飾区 総務 保健福祉 建設環境 文教
江戸川区 総務 福祉健康 建設
生活環境振興
文教

これらのいずれかに各議員は所属しなければならないわけですが、各議員は自分の希望通りに委員会に入れるのでしょうか?ある委員会だけものすごく人気が出てしまったり、逆に人が集まらない委員会が出てきてしまったり、という可能性はないのでしょうか?

残念ながら、区議がそのことについてどのような対応をしているのかを示す資料は見つかりませんでした。参考までに、東京都議員の委員会の決め方がわかる資料のリンク先を紹介しておきます。

所属委員会決定!…「委員会」ってなんだ?

都議のおときた氏によれば、都議会の委員会はまずは会派ごとに人数が割り当てられ、そのなかから会派ごとにキャリアなどを参照しながら誰がどこに所属するかを決めていくようです。

議会運営委員会

議会運営委員会とは、議会の運営について調査を行い、議案、請願等を審査します。23区すべてに置かれている唯一の委員会です。
各会派の代表クラスの議員で構成され、本会議を円滑に進めるためにも大変重要な働きを担っています。

特別委員会

特別委員会は必要に応じて区ごとに置かれます。まちづくり関連の特別委員会を設けている区が多いですが、それだけではなく、2020年のオリンピックを見据えた特別委員会や都からの自治拡大を検討する特別委員会、地域に特徴的な特別委員会を設置している区もいくつもあります!

一覧で紹介しますね。

区名 特別委員会
千代田区 公共施設整備特別
オリンピック・パラリンピック対策
オリンピック・パラリンピック対策
駅及び駅周辺環境整備
中央区 防災等安全対策
地域活性化対策
地域活性化対策
東京オリンピック・パラリンピック対策
築地市場等街づくり対策
港区 交通・環境対策等
行財政等対策
行財政等対策
まちづくり・子育て等対策
東京オリンピック・パラリンピック対策
新宿区 防災等安全対策
議会・行財政改革
議会・行財政改革
文京区 災害対策調査
少子高齢社会対策調査
地域振興・まちづくり調査
台東区 環境・安全安心
子育て支援
文化・観光
用地活用・地区整備
墨田区 都市開発・災害対策
観光対策
観光対策
江東区 防災・まちづくり・南北交通対策
医療・介護保険制度
オリンピック・パラリンピック対策
清掃港湾・臨海部対策
品川区 行財政改革
目黒区 区有施設・生活圏域整備計画調査特別委員会
大田区 交通問題対策
スポーツ・観光推進
スポーツ・観光推進
羽田空港対策
世田谷区 災害・防犯・オウム問題対策等
地方分権・地域行政制度対策等
地方分権・地域行政制度対策等
環境・エネルギー問題対策
渋谷区 交通・公有地問題
パラリンピック対策
庁舎問題
中野区 震災対策
中野駅周辺地区等整備
杉並区 災害対策特別
議会改革
文化芸術・スポーツに関する
豊島区 防災・震災対策調査
行財政改革調査
豊島副都心開発調査
清掃・環境対策調査
北区 防災対策
地域開発
荒川区 震災対策調査
観光・文化推進
健康・危機管理対策調査
板橋区 公共施設等調査
議会改革調査
まちづくり調査
練馬区 総合・災害対策等
医療・高齢者等
清掃リサイクル等
足立区 交通網・都市基盤整備調査
子ども施策調査
生活保護・高齢者生きがい対策
葛飾区 危機管理対策
地方分権・行革
江戸川区 災害対策・まちづくり推進
熟年者支援
庁舎移転問題検討
子育て・教育力向上

いかがですか?各区ごとに多様な特別委員会がありますね!

特別委員会は必要に応じて設置されるので、今後も新しいものが作られる可能性があります。ぜひ、みなさんもお住まいの区の特別委員会に注目してみてください!

以上、委員会についてご紹介してきましたが、いかがでしょうか?

区議会議員、といえば「本会議」というイメージをお持ちの方も多いでしょう。ただ、本会議よりもより具体的な議論が行われている委員会のほうが、より区議会議員の様子を見ることができますし、何より、面白いです!

今月も委員会が行われます。みなさんも是非傍聴してみてくださいね!

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