3-1.区長ってなにしてるの?

みなさんこんにちは。

ここまでは区や区議会について紹介してきましたが、ここで少し視点を変えてみましょう。

以前のブログで、区議会と区長、それぞれどのようなはたらきをしているかは簡単に紹介しましたが、今回は今まで焦点を当ててこなかった執行機関のトップ、区長に着目して紹介します!

とはいえ、区によって区長がどこまで何をしているかは様々なので、今回は保坂展人世田谷区長の著書、『闘う区長』(集英社新書)を参考にご紹介しますね。まずは、区長の基本的なお仕事から!

区長が普段やっていること

さて、まずは区長が具体的にどんなことをしているのかをまとめてみます。

区長選出後にやること

選挙で区長に選出されると、まずは区役所の職員の前で「管理職訓示」および「職印訓示」という方針演説を行います。

日常業務

日常業務としては、執行機関のトップとして、区役所で行う事業の最終了承や、区職員への指示を行います。また、議会に対しては区議会本会議で予算案を提出したり各種答弁を行うことなどが挙げられます。また、区のトップとして、一区のみでの解決が難しい問題について特別区長会や中央省庁に提案したりすることもありますし、情報公開や他の市区町村や区民などとの交流の機会に全面に立って活動することもあります。

以前は国会議員だった保坂区長自身も述べているように、国会議員は「選挙」がつねに行動を縛り、ある程度パフォーマンスが求められます。いっぽう、区長はそもそも1人しかいないため、替えが効きません。いくらパフォーマンスしようが結果が伴わなければ意味が無い、という意味で、区長はつねに結果が求められる職業でもあります。

「五パーセントの新しい方向」

保坂世田谷区長は、2011年に世田谷区長に就任されました。

保坂区長の著書を拝読していると、区長はいくつか興味深い取り組みを行っていることがわかりましたので、こちらで紹介させていただきます!

まず、私が最も印象的だったのはタイトルにも挙げた「五パーセントの新しい方向」という表現。これは、先ほど書いた「職員訓示」のなかで保坂区長が述べたことです。

行政機関は日常生活を途絶えること無く確実に行うことが重要です。例えば特別区の場合、区長が変わったり、事件事故が起こったからといって機能がSTOPしてしまえば区民の生活に支障が出てしまいます。ですから、区長が変わっても95%の部分は従来通り日常業務をするように伝えました。行政機関のトップとしての区長の位置づけが垣間見えます。

その上で、残りの5%の部分は「常に新しいことに取り組む領域」でなければならないと保坂区長は述べていました。

たった5%……何ができるんだろう?と私は最初読んだ時に思いました。でも、保坂区長はほんとうにたくさんのことに取り組んでおられるのです!

区長って、ここまでできる!

たとえば、区民との対話の機会を多く設けていることが挙げられます。区長に直接意見を言える「区長へのメール」を毎日読み対応しているだけではなく、直接区民との意見を聞いたり、区民自身が街づくりについて意見を出し合う公開ミーティングやシンポジウムを設けています。

また、区長が立候補を決めた理由の1つである震災や原発事故についての対応も際立っています。区のみでの実現が難しかった放射線量測定の要請を他の特別区長と実現させたり、学校給食の放射線量測定を導入しました。たいてい、区のみで実現が難しいことを超域的に協力を取り付け実現に結びつけるのは大変です。区長の行動力の結果でしょう。被災地の子どもたちを世田谷区に招く取り組みもしています。直接的に震災や原発事故とは関係ありませんが、区内で放射線量の高いスポットが見つかって大きなニュースになったときも、情報公開に努め必要以上に騒動が大きくなることを避けました。

震災がひとつの動機となって行われている、「電力の地産地消」をめざし電力供給の転換をはかる取り組みも大きく取り上げられています。

ほかにも、空き家を活用するプロジェクトを行ったり、Twitterによる情報発信を積極的に行い、それがきっかけでとなって「教育・子育て」に関するオフ会を行ったりと積極的に活動を行っています。

もちろん、執行機関の長としての立ち位置からも「新しいこと」は行われています。区長は、区役所が行う業務を最終的に了承しますが、保坂区長はこの際、全て流れ作業で印鑑を押すのではなく、気にかかるポイントがあれば差し戻しも行っているそうです。また、区の中で「縦割り行政」ではうまくいかない事業に関して、「領域連携」の課長を配置するなど「横のつながり」を持って対応できるようにしています。

議会対応という観点からは、当選後に本会議が始まる前、会派ごとに区議会議員と対話する機会を設けたそうです。これにより、区長と区議会議員の間で超党派の合意、賛同を得るテーマについて議論がしやすくなりました。

95%で日常業務を確実に営んでいる以上、これらの新しい事業はたかが「五%」にすぎないはずなのに、こんなにも様々な取り組みができるのかということに驚きました。現在進行形でまだ結果が出ていない事業も多くありますが、今後も注目していきたいと思います!

みなさんの区は、どんな区長が、どんなことを目指し、どんなことを行っていますか?

区長がここまで区の方向性に影響を与えているということがわかると、次の区長選挙は必ず行かなきゃ、と思うようになりました。

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