現役通訳案内士に聞く!ツアーコーディネーターから通訳案内士へ。通訳案内士のやりがいとは? | Enjoy Learning English!!

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現役通訳案内士に聞く!ツアーコーディネーターから通訳案内士へ。通訳案内士のやりがいとは?

公開日: : 最終更新日:2016/06/17

こんにちは。英語学習コーチのタニケイです!

「現役通訳案内士に聞く!」シリーズ第3回の今回は、小さいお子さんを持ちながら現役通訳案内士として活躍されている吉田優香さんにインタビューをさせていただきました。

【「現役通訳案内士に聞く!」シリーズの過去インタビュー】
第1回 現役通訳案内士に聞く!実際のガイドのお仕事とは
第2回 現役通訳案内士に聞く!CEL英語ソリューションズで学び2年目で合格!

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(今年6月の浅草観光ガイドにて)

― 吉田さん、よろしくお願い致します。はじめに、吉田さんが通訳案内士の資格に興味をもったきっかけを教えて下さい。

はい。私はもともと小学生の時に、父の仕事の関係で約5年間シカゴに住んでいたので、ベーシックな英語はそこで学びました。アメリカの大学に留学なども考えたのですが、もっと日本のことを知るべきだと思うようになって、日本の大学で日本文化、主に民俗学を専攻しました。通訳案内士のことを知ったのはその時です。

― では、大学時代に通訳案内士の勉強を始めたのですか?

いえ、勉強を始めたのはもっと後だったんです。学生の頃から興味はあったのですが、大学卒業したばかりでまだ社会経験もないうちに、社会経験も旅行経験もある海外のお客様を相手にすること考えると、お客様に日本のガイドの適当な印象は残せないな、と思いました。なので、まずは社会に出ようということで、3年間貿易の会社に勤めました。

― なるほど〜。その会社を辞めて、すぐに通訳案内士になられたのですか?

いいえ。3年働いた後、オーストラリアのツアー会社に勤めました。そこでは3年間ほど、ツアーコーディネーターの仕事をしていました。そのうちに、やはり通訳案内士の資格を取って箔をつけたい、と思うようになって、試験に挑戦することにしました。

― なるほど。では実際に通訳案内士の資格を取ろうと思い立ってから合格するまでに、どのくらい勉強されたのですか?

2年ほどです。仕事が忙しくて学校には通えなかったので、ハロー通訳アカデミーの通信教育で勉強しました。ハローの通信教育では、年に6回の模試がついていて、解答を添削して返してくれるんです。何がだめだったのかが分かったので、良い試験対策になりました。そこで1年くらい勉強しました。

― どんな勉強をされましたか?

とにかく通信講座の問題集や模試、過去問をやっていました。過去問は10年分くらい解きましたし、模試もとても役に立ちましたね。ハローの問題集もずっと研究されてきたプロの方が作っているので効率よく勉強できます。あと、地理などは山の名前や温泉の名前などを丸暗記しました。さらにその周辺にある観光名所などもテキストを使って一緒に覚えるようにしましたね。

― ハローのテキストや問題集、模試以外に、何か自分で買ったりしたテキストや本はありましたか?

特になかったと思います。地図帳などもハローのものを使っていましたし、あとは中学校の時の便覧などを使っていましたね(笑)

― ハロー通訳アカデミーの通信講座を受けていたのは1年間だけですか?

はい。1年経った段階で一次試験を受けたところ、他の科目は受かったのですが、一番自信のあった英語の筆記で落ちてしまいました。翌年の試験では、それ以外の科目の受験が免除だったので、英語だけに集中して勉強しました。

― そうだったんですね。二次試験はどうでしたか?

二次試験はわりと自信があったので大丈夫でした。3年間ツアー関連の仕事に携わっていて、お客様と英語で話すことにも慣れていたので。直接面接官と話すなら、何かしら話はできるだろうと思っていました(笑)

― 経験がものをいったんですね。二次試験の内容はどうでしたか?

内容は、「剣道について話してください」というものでした。私自身、剣道の知識はほとんどなかったので、内容に対する知識や正確さというよりも、コミュニケーション力が求められていると感じましたね。

― そうなんですか。私も今年受ける予定なので、とても参考になります。資格を取ってから通訳案内士の仕事を始められたのはいつ頃ですか?

完全にフリーになったのは2013年の12月からです。そこでトラベリエンスの橋本さんと知り合って、そこから依頼を受けるようになりました。他には、前に勤めていた会社からの都内1日ツアーの依頼や、前に担当したお客様からの直接の依頼、またガイド友達から手伝ってほしいという依頼などもありました。

― そんなに色々依頼があるんですね!吉田さんはお子さんもいらっしゃいますよね?週にどのくらいお仕事をなさっているのですか?

はい、もうすぐ2歳になる子供がいます。平日は保育園に預けています。なので、実際にガイドをするのは主に平日で、なるべく週に3回くらいに抑えるようにしています。ガイドの仕事は実際にお客さんにお会いするまでに(初めて行く場所などの場合は特に)現場のリサーチや不足している知識を頭に入れる作業が必要になり、そこに割と時間がかかります。行き慣れたところでも復習の時間は必ずとります。そういった下準備に時間を充てるためにも、仕事のペースは調節しています。

― そうした下準備は大事そうですね。では、実際にガイドをしていて、海外のお客様がこんなところに興味があるんだな〜と、意外に思うことはありますか?

日本人にとってはごく普通のことに驚かれることがありますね。たとえば、自動販売機の多さや、コンビニなど色々な場所でSuicaで支払いができること、あとは人の多さを楽しんでいるお客さんもいますね。満員電車にあえて乗りたがったり(笑)

― どれも日本人にとっては当たり前のことですね。

そうですね。もう少し深い話になると、日本人の繊細さや考え方なども挙げられますね。日本って街を歩いていてもゴミ箱ってとても少ないですよね?海外のお客様に、「それはなぜ?」と理由を聞かれるんです。もちろん行政の問題などはありますが、私たち日本人は小さい頃から、捨てるところがなければ、ゴミは持ち帰るという習慣が身についています。そのように説明すると、「それはすごい!」と驚かれるお客様は多いですね。海外のお客さまにとってはその考え方自体がとても新鮮なんだと思います。

― それは面白いですね!ガイドの仕事をする上で、役に立つように積極的に仕入れている知識などはありますか?

単純に自分が好きだというのもあるのですが、海外のトレンドやゴシップなどにもアンテナを張っています。たとえば、街中にOne Directionのポスターがあったときに、知識があれば、お客様と会話を楽しむことができるんですよね。これは観光という意味では必要な会話ではないかもしれないけれど、私は、この仕事の醍醐味ってお客様と会話ができることだと思っているんです。自分が一方的に知識をひけらかすことでなく、お客様に対してお友達のように接するガイドを目指しているんです。

― なるほど。その考え方は素敵ですね!せっかく日本に来ていただいて、ガイドとして出会ったなら、できるだけ仲良くなって、楽しんで帰っていただきたいですよね。他にも何かありますか?

あとは日本を舞台にした映画を観てから来られる方も多いので
“Jiro dreams of Sushi” のJiroのお店は行った事ある?
”Wolverine Samurai” に出てきたあのお寺はどこにあるの?
などと聞かれたり、ジブリ作品の熱烈なファンも多く必ず、どの作品が一番好き?という話になるので、映画の感想を交換できる程度にいろいろ観ておくなどします。ちなみに「すきやばし次郎」には行った事はありません(笑)

― 吉田さんにとって、通訳案内士というお仕事のやりがいは何でしょうか?

お客様の疑問などに答えてあげられたとき、お客さんの顔がぱっと明るくなる瞬間は良いですね。あと、お客様にお伝えした知識が、お客様のその後の旅行を豊かにできるということも嬉しいです。例えば、私がお寺をガイドをしたことで、そのお客様が次にお寺を見るときに見方が変わって来ると思うんですね。それから、最後にお別れのときにお客様に感謝されると、あ、満足してくれたんだな〜と感じて嬉しく思います。

― それは良いですね〜!リピーターのお客様などもいらっしゃるんですか?

そうですね、ガイドのリピーターというよりも、一度ガイドしたお客さんがまた日本に来ることになった時には、友達として「また会おう」と言われて会うことがあります。それはとても嬉しいことです。

― それは本当に素敵なことですね!では最後に、今通訳案内士の勉強をされている方々にメッセージをお願いします!

はい!通訳案内士の仕事は、「常に現場にいたい、動いていたい」と思う人には特に向いている仕事だと思います。私自身、2歳になる子供がいますが、保育園を活用したり、夫の協力があれば、できる仕事です。仕事量を自分で決められる、自由に働くことができるというところは本当に自分には合っています。

それから、ガイドに求められるのは知識だけではないので、知識を詰め込んだからといって、それだけでは安心しないで欲しいと思います。やはり人と人とのコミュニケーションが大事な仕事なので、カスタマーサービスの気持ちを大事にしましょう!もちろん知識はあって当たり前と思われているので、そこは抜かりなく勉強しないといけないのですが、それ以外にも、資格を取った後に学ぶことは沢山あると思います。

― ありがとうございます。私も、せっかく日本に興味を持ってくれた方々に、思う存分日本を楽しんでもらいたい、という気持ちを忘れないようにしつつ、試験勉強をがんばりたいと思います!吉田さん、ありがとうございました!

インタビュー後記

<追記>以下に紹介している通訳案内士試験の情報は2014年度の情報です。通訳案内士試験の最新情報は、2016年6月に出版した『通訳案内士のすべてがわかる本』をお読みください☆また、このブログに掲載した通訳案内士インタビューをはじめ、ガイドとしてのさまざまな活動の仕方も紹介しています!

今年の通訳案内士の1次試験は8月24日。実はあと17日しかありません!私は英語の1次試験は免除なのですが、日本史、地理、一般常識とも、なかなか手強く、久しぶりに受験勉強のように暗記をしています。

現役通訳案内士の方々のお話を伺うと、やはり素敵なお仕事だと思いますし、この資格を取って、海外から日本に興味を持って遊びに来てくださる方たちとコミュニケーションを取って、楽しい旅の思い出を作るお手伝いができたら、とてもやりがいがあるだろうな〜と思います。

今年通訳案内士試験を受験される方も、来年以降受けてみようかな、と思っている方も、「なぜ通訳案内士の資格を取りたいのか」という自分の想いを確認して、自分が外国語でガイドをして、観光客の方々に楽しんでもらっている姿をイメージしながら、がんばっていきましょう!!

タニケイ

【「現役通訳案内士に聞く!」シリーズの過去インタビュー】
第1回 現役通訳案内士に聞く!実際のガイドのお仕事とは
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タニケイプロフィール

谷口 恵子(タニケイ)

プチ・レトル株式会社 CDO
ワクワク英語学習コーチ
TOEIC ・TOEFLリスニング満点
Street Academy Platinum Teacher

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